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イギリス発 ジンブーム 自粛に及んで飲んだくれには要注意?

 皆さんこんにちは、ロンドンのフィフ姉です。ロンドンの天気は晴れ時々曇り。新しいAdobeのイラレ(Illustrator)のソフトで子供のTシャツ作りを手伝う親。頑張って無言で集中しています。
さて、今日はイギリスでとても人気なアルコール飲料の1つ「Gin」についてです。カンフィフ夫婦はほとんどアルコールを飲みませんが、巷では若者ロンドナー達やスピリット好きにとても人気なアルコール飲料です。「ジン」というとアルコール度が高いというイメージはありますが、実際のところ何から作られているのかあまりピンとこないかもしれません。
そこで、ジンを作るのに必要な食材。「ジュニパー」これはジュニパーベリーと呼ばれる小さな実。ハーブでよく知られるイギリスですが、16世紀頃にはこのジュニパーはオランダでモルトワインと加工され漢方薬の薬用飲料「Genever」としてイギリスに登場していました。
オランダ出身のイギリス国王ウィリアム3世(1689年)はフランスに貿易戦争を仕向けるため、フランスのワインやコニャックに高い税金をつける一方でジンの蒸留免許をやさしくし更にジンの税金を下げました。そしてその後、あまりにもヨーロッパから輸入される穀物の量が多かったため、イギリス国内の地主を保護するために穀物類の輸入制限をする法律を定めました。こう聞くと、なんとなくイギリスにとって最適な政策とおもわれますが、実はここからイギリスは一転し「誰でも蒸留できるお酒」が出回り始めイギリスはジンに狂ってしまう時代がやってくるのです。
 
ジンは貴族の中ではファッションの一つとしてたしなむ程度のモノでしたが、貧しい人々の間では現実逃避のために誰でも簡単に安く作れる唯一のお酒となっていきました。テムズ川が凍るほどの寒い冬に日にはその凍った川の上にテントを張り、みんなでドンチャン騒ぎをし、ビールよりも安いホットジンとジンジャーブレッドで大盛り上がりとなっていたそうです。そしてこの「ジン」は人々をどんどんアルコール中毒にしていき、、、、、。どうなったかというと。(下記参照)

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ジン横町 Wikipediaより引用

そうです、アルコール中毒人口増加。という事になりました。。。。。あー無惨。なんてひどいコト。。。人間どこに住んでも嫌なコトや憂鬱な気分になる事はあります。そしてそんな状況から現実逃避したい気分になるコトもあるでしょう。。。自分の中に強さを持つという事がいかに重要か学ばせてくれるこの絵。。。。でも、もしイギリスの気候が毎日常夏でハワイのような天気だったら状況は違っていたかもしれません。。

そして、このようにアルコール中毒の人々の数がどんどん増加し手のうち所がなくなり最終的に国が出した対策は、、、、、

その1、ジンの税金と手数料を値上げする。

その2、蒸留免許と免許取得を難しくする。

その3、ジンの代わりにビールや紅茶の消費を押し進める。

ということでイギリスの人々にとってジンはどんどん高嶺の花に。国の政策で思い通りビールと紅茶が生活に広まっていきました。メデタシメデタシ。というコトでイギリスは救われていきました。
では、なぜ今「ジン」がまたブーム?という質問。そうです、これ。蒸留免許が1820年以来おりておらず、2008年に再び蒸留免許を取得した人がいます。イギリスの会社「Sipsmith」ロンドンドライジン に情熱を捧げて開始した3人の男性によって法律と戦かった結果、ついに蒸留免許を200年ぶりに取得しました。
イギリスの辛い過去を持つ「ジン」、2008年以降の洗練された新しいジンのイメージはガラリと代わり毎年毎年どんどん人々を魅了し続けています。(下記参照)
そこで気になるイギリスのスーパーマーケット”お手軽に飲める”「ジン」のパッケージ。
M&Sから引用

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こんな感じでジュースとあまり代わり無し。あまりの可愛さについつい買ってみようかな?なーんて気軽に考えてしまったら、また過去のにが〜い経験を引き起こす可能性がなきにしもあらず。。。自粛生活はいいですが、飲んだくれには要注意。